高原野菜を中心とした
多彩ないちのへの農業スタイル
大地の緑、空の青、雲の白。
いちのへの農業は、バラエティに富み
農村風景はレタス畑や牧草地などが
大地のパッチワークのようにつらなります。
大規模な高原野菜生産、産地指定を受けた定番野菜生産
町外で評判の乳製品生産など、
一次生産物から、加工品まで、いちのへには、
いろいろな農業のスタイルがつまっています。
標高の高い冷涼な地を変えた開拓
一戸町は農業の町です。森林面積が町の7割を占めるなか、平坦地から高冷地まで環境が異なる農地が広がっていて、いろいろなスタイルの農業が展開しています。
特にいま町内でも大きな農業生産地となっている奥中山エリアは、高地にあり、気候が厳しく、長い間農地としては適さない場所でした。標高400メートルの高冷地で、年平均気温は7.7℃、スキー場ができるくらい寒く、1月の平均気温は-5.5℃まで下がります。
こんな高冷地に戦後開拓者が入り、土地を拓き土壌を改良していまの農業圏いちのへが生まれました。困難に立ち向かう、たくましさとやさしさが、いちのへの農業にはあります。

高原野菜といえばいちのへ
もっとも有名なのは、涼しさを活かした高原野菜。レタスは東北一の産地です。レタスの影に潜んでしまいますが、キャベツやトウモロコシの生産も盛んです。国で行っている、市場での価格安定を図り、農家にも契約取引による安定収入につながる野菜指定産地という制度があります。
一戸町は、夏秋キャベツ、夏秋レタス、夏秋きゅうり、夏秋トマトに関しては、野菜指定産地になっていて、収入の安定が図りやすくなっています。生産経験の浅い若い世代にとっては、出荷の安定が図られる指定野菜の生産は、就農のうえで安心材料の1つになります。

いちのへの農業のもう1つの顔、酪農・畜産
同じエリアでは酪農や畜産も盛んです。牛乳はもとより、アイスクリームやヨーグルト、チーズなど乳製品にもファンが多い町です。新規就農においては、投資額が大きくリスクも高い農業ですが、町の就農者のなかには農大出身の若いご夫婦が全国で場所を探した結果一戸町で就農されたケースがあります。
個人経営で乳製品の生産をして、県産品など数々の賞を授賞し、むしろ町外でどんどん名が知れている強者もいます。

密かにさくらんぼや、リンドウの産地
果樹生産では、リンゴや、ブドウ、サクランボが盛んです。ブランドフルーツのサクランボ「夏恋」は、「赤い宝石」といわれる甘味の強い品種「佐藤錦」の糖度17度以上、Lサイズで着色80%以上という厳しい基準をクリアしたサクランボで、首都圏にだけ出回ります。その規格外が出回ることから、時期になると産直を狙って町外からもファンが訪れます。ほかにもブルーベリーなど涼しい環境で、生産されるフルーツがあります。
果物のほかにも、菌床しいたけの生産も多くみられ、生しいたけの主要産地である岩手県の一助となっています。
転作によりリンドウなどの花き生産も人気です。リンドウは買い取り単価が高い花きですので、時期や種類を狙うとさらに増収が見込め、就農者にも魅力ある生産物です。
作物別作付け状況及び販売額の状況
(単位:ha、百万円)
作物・畜種 | レタス | キャベツ | トウモロコシ | トマト | りんどう | 乳牛 | 肉用牛 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
作付け面積 | 233.4 | 23.6 | 27.4 | 7.9 | 30.6 | 22,181.8 | 1,475 |
販売額 | 916.0 | 71.6 | 46.5 | 152.3 | 165.5 | 2,258.7 | 743.0 |