一戸就農ストーリー
新しいことに挑戦してみたい。 自由に考え、努力する農業の暮らし。
猪股ご夫妻
農業経営開始:平成26年9月
品目:飼料用米、グリーンアスパラガス、促成アスパラガス等
実家の農業を継ぐために転身 さらに新たなことにもチャレンジ
実家は元々葉たばこ農家をしていたので、一度は一般企業に就職しましたが、いつかは農業を継ごうと考えていました。小さい頃から家の手伝いをしていたので、いつかやりたいなと考えていたんです。
会社勤めをしていた時、会社の事務をしていた妻と出会い、結婚して、今は一緒に農業をしています。息子たちが小学校に入る頃に、就農する、という話をした時には、妻に反対もされましたが、チャレンジしたいという気持ちも強くて退職しました。妻には最初「農業はやりません」と言われてしまいましたが、今では農業のやり方も一緒に考えながら仕事をする頼もしいパートナーです。
農業を継ぐ、といっても実家の両親は健在で、夏には私たちが両親の葉たばこ栽培の手伝いをします。冬の間はハウスを使わないので、その間に新しいことをしようと考えて選んだのがアスパラガスです。奥中山には大きな規模でアスパラガスを栽培している農家さんがいるのですが、その他の地区にはいないため、「他の人がやっていないことをやってみよう!」と思い、始めました。
アスパラガスは、春に株を植えて栽培して、冬にはハウスに植え替えて収穫します。普通のアスパラガスは1年中畑に植えっぱなしですが、私たちがいまやっている促成アスパラガスは冬に収穫したら終わりです。2月末まで収穫をする予定です。一般的にアスパラガスの旬は春から夏と言われていますが、冬のアスパラガスは甘くておいしいです。主にJAに納品していますが、アスパラガスは繊細な生きものなのでまっすぐ伸びずに曲がってしまうこともあります。納品ができなくても味は変わらないので、加工用に卸したりもします。

のんびり、こつこつ、一戸の暮らし
私は一戸町の生まれで、この土地も両親のものです。慣れ親しんだ場所で農業をしながら、近隣の農家さんたちと交流しつつ、農業について知識を深めながら仕事をするのは、自由で落ち着いた暮らしができていると思います。その点、妻は近くの二戸市の出身で、結婚してここで一緒に暮らすようになりました。農家同士機材の貸し借りもしますし、子どもたちも学校へ行くとき近所の人と挨拶しますし、よく気にかけてもらえることを実感します。近所の人もとても優しくて、妻もいつもお世話になっているそうです。子どもの送り迎えも、孫かわいさに積極的に両親がしてくれるので、とても助かりますね。

子どもたちのことを考えながらの農業生活
冬季は朝に子どもたちを見送って、8時くらいから午前いっぱいで促成アスパラガスの収穫を行ないます。午後には選別を行なって、夕方にはJAに出荷します。会社勤めのときは、先方都合が優先で、時間の使い方もままなりませんでしたが、農業の生活はほどほどに自由に時間が使えるのが、良いところです。
アスパラガスは冬・春・夏の頭まで、ハウスや露地で栽培を行います。他にも飼料用米の田植えや稲刈り、夏季には両親の葉たばこ栽培の手伝いをするので、1年間常にやることがあります。ですが、子どもの学校行事がある日には、自分たちで休みを調整するので、子どもたちのために休みを作りだせるんです。

手探りをしながら、新たな挑戦も
昨年はホウレン草に挑戦して失敗してしまったんですが、今年は玉ネギもやってみようかな、と考えているんです。確かに1年中、今の時点でもやることはあるのですが、いろんなことをしてみたくて。夏の間は両親の葉たばこの収穫を手伝うため忙しいので、実際にできるかどうかはわかりませんが、試してみたい気持ちはあります。
神楽や釣りが趣味で、子どもたちと一緒にしています。今の季節はワカサギ釣りが楽しいですね。週末にも行く予定で、息子たちと男同士で計画を立てています。
夢はマイホームを建てることです。妻も目標のためにはやる気満々なので、いっしょにこつこつ、頑張って行きたいです。ハウスでアスパラガス用の土を温めるために電熱線を導入したのも、ボイラーよりも安くできるから、ということで妻が決めました。燃料の高騰に左右されないので家計には安心です。
農業の良いところは、自分で考えてやりたいことをやれるところです。それが逆に難しいところですが、やりがいにもつながります。何事も自分で自由にできますが、自分でやりはじめなければ何もできません。これから農業を始めようと思っている方には目標を立てて頑張ってほしいですね。